自律神経のお話

人間の生命を司る機能に自律神経があります。
交感神経と副交感神経。

交感神経=活動している時、緊張している時、ストレスを感じている時に働く
副交感神経=休息している時、リラックスしている時、眠っている時に働く

私が子供の頃アトピーを発症し、病院へ行ったときは
大人になればそのうち完治します。とよく言われました。
ですが、現状はどうでしょうか?

アトピーを小さいときに発症し、大きくなってから
完治している方はいらっしゃるのでしょうか

小さい頃に発症し、ステロイドを塗り
大人になってむしろ症状が悪化している方。
一旦は収まっても、大人になって再発する
そういいった方が多くおられるのが現状です。

私のアトピーも大人になったからといって

完治はしませんでした。

それはなぜなのでしょうか?

私がアトピーを発症したのが昭和50年ほど。
実際にアレルギーやアトピー性皮膚炎が急増してきたのは
昭和45年頃です。
昭和30年代日本には、アトピーという言葉はありませんでした。
この頃に日本にどんな変化があったのでしょうか?

この頃の日本は経済成長と共に生活の
「豊かさ」が当たり前になってきた時代です。

戦中、戦後のように物がなくて困っていた時代、
食べるものがなく、いつもお腹をすかせている状態
そんな状態はない時代となっていました。
国民の多くが貧困や空腹を感じることは少なく
食生活は豊かになっていました。

食生活でいうと
お腹を満たすだけの食から
よりおいしく、より豪華に楽しく
おやつやおかしなどにもお金をかけたりする
ゆとりが生まれてきた時代です。

生活習慣でいうと
主婦で言えば掃除機や洗濯機などの家事家電が普及し、
家事で重労働をするということがなくなりました。
そうした意味で、昔より運動の量は明らかに減っていきます。

男性で言うと戦争で命を奪われる時代は
終わっています。
飢えをしのぐような、命の危機に
さらされるようなこともなく
生命維持活動的には穏やかな暮らしになっています。

子供の生活習慣では関しては塾通いがでてきたりで
外遊びの機会は減っていきます。
食は豊かなになりつつありますが、
運動不足の傾向にあります。

このように生活習慣が激減する時代背景がありました。

食べ物が豊かになるという飽食。
明らかな運動不足。

こういった生活スタイルの変化を迎えた
日本人の体は、これらの影響を受けてどう
変わっていったのでしょうか?
人間の体のいろんな機能の調節をしている神経、
自律神経はどういう状態になっていったのでしょうか?

寒さや飢えをしのぐ「交感神経優位」の状態から
食べ物を満足に食べられる、また運動不足という
「副交換神経優位」の状態へと
変化した形となります。

副交感神経が優位な状態だと
体の中でどういうことがおこっているのでしょうか?

血液中の中で白血球のうちのリンパ球が増えていきます。
リンパ球は体の中にウィルスどの敵から体を守る
働きをします。
ですがそれが活発に働きすぎてしまうと
害のないものをも毒と認識してしまい攻撃します。
そして炎症を起こして体の外へ出そうとします。
それがアレルギー反応です。
このアレルギー性の炎症がお肌に出てきたのが
アトピー性皮膚炎です。
毒を体の外に出すために血管を広げて血液量を増やし流そうとします。
その時かゆかったりはれたりします。
つまりかゆみやはれは体の治癒反応なんですね。

私が子供の頃にお医者さんに大きくなったらアトピーが治ると言われたのは
副交感神経優位だった状態が大人になるにつれて
バランスをとり交感神経優位となり
リンパ球の数も減るとされて言われたものでした。
ですが昭和30年代以前の子供よりも豊かな食生活をしていたので
体質の変化が遅くなりアトピーが完治しづらい状況があります。

飢えでお腹がいつも空いているという状況にはない今の時代。
豊かになった一方で
副交感神経が優位になる状況つまり
アレルギー症状が起こりやすくなる状況があるということです。

そういった生活習慣の変化、
これがアレルギーを含む豊かになった現代日本が抱える
アトピーの1つの原因です。
昭和30年代の昔にはアトピーがなかったのも
うなずけるお話だと思いませんか?

またアトピーが完治しずらいのも
こういう生活スタイルが定着していることをみると
納得できますね。